月刊近代中小企業 速習「いまどきのパートアルバイト採用・教育・管理要締2006年8月号掲載
「コンピテンシー」という考え方があります。例えば、仕事の段取りが悪く、いつもあたふたしている人と、ソツなくこなす人がいたとします。両者の行動を比べてみると、後者は毎朝「1日の業務を書き出して、その優先順位をつけてから仕事にかかっていた」ことが良因だとします。このように「秘訣」を他者に教育することによって、活性化を図ることを「コンピテンシー」といいます。「できる人に学ぶ」ということです。
では企業にとっては、「人罪」ともいえる、「言われたことしかできない」といわれるタイプにはどう対処するべきなのでしょうか?ある書籍に「子供が挨拶できないと言われるが、できないのではなく、教えられていないから」とありました。なるほど、その手法で功を奏している事業所があります。総勢30数名のパートさんでほとんどの業務を賄っていスーパー銭湯です。
お客様への挨拶もハキハキとでき、従業員教育が行き届いている様子がうかがえます。電話の対応も然り。気持ちのいい応対と共に、きちんとした手順が教育されているようです。
その会社では、タイムカードの脇に、張り紙があります。大まかな内容はこのようなものです。
「判りきったことですが」と断った上で、
「出社したら笑顔で、おはようございますと挨拶しましょう。」「タイムカードを押しましょう→間違ったらこうします・・・」
「退社時は、お先に失礼します。」送る側はお疲れ様の気持ちを込めて「お疲れ様」と言いましょう・・・。等と細かな指示が並んでいます。本当に当たり前の事が書かれているのですが、「判りきったことですが」という前置きがこの張り紙の効果を決定づけています。
当然の事を改めて指摘されると反発しやすいというのが、人間の心理ですが、あえて「あなたは勿論ご存知でしょうが」「信頼していますがあえて」というように、「あなたを認める」という姿勢を示すことにより、内容を受け入れ易い心理を誘っています。
また従来なら本人の自覚の問題として「挨拶」までも明文化する必要はありませんでしたし、ましてや「笑顔で」などと指示することなど、考えもしなかったでしょう。大手のファーストフード店はじめサプライチェーンでは、パートを戦略化するにあたってマニュアルを導入しています。このスーパー銭湯の事例は、中小企業にも初歩以前のマニュアル作りが浸透しつつあるのではと感じるものです。
「できぬならできるまで教えよう。」そんな時間と費用がない中小企業だからこそ、自主性に任せていた観点をもあえて「形に(マニュアル化)」することで、教育するという発想も1つの手法です。
またこの銭湯では洗面所に落ちた髪の毛を毛をお客様がきちんと取り除いています。さらに水道の蛇口周りの水をきれいにふいていく方もいます。ここにも張り紙の影響が少なからずあります。
「スリッパが乱れていると、心も乱れる・・他人が乱していたら、直してあげよう」「いつもきれいに使っていただき、ありがとうございます」のような主旨の内容です。
社員教育に絶対的な王道などありえませんが、ついデメリットに捉えがちな細かな指示の裏にも、「自覚のレベル」を引き上げるなどのメリットが隠されているようです。
by office soumu at 13:25 |
人材育成・教育・面接 |
|
|
page top ↑